手を繋いで玉置は泣き、良子は困ったような抱きしめてあげたいようなそんな感情を持て余してただ立ち尽くした。

「お……お、女の前で泣くなんてよぉぉぉ……。出来ねぇよぉぉぉ……。ズビビ──」

(……出来てるよぉぉぉ?立派に、泣いてるよぉぉぉ)

「……笑い涙なんでしょ?分かってるから泣いてもいーよ、玉置君。だって──」

その後に続く言葉はそれでもやっぱり言えなかった。

『だって──』




それから玉置を玄関先の門から見送ると良子は家に入った。

そして夕食後、久しぶりに『メガネ』になり携帯小説を更新させた。

窓の外から虫の声。

『風流』だ。

(玉置君、大丈夫かなぁ)

「ま、一晩たてば──」

(ズッコケヤンキーに戻ってるだろ)

良子は玉置の白目ウィンクを思い出して、苦笑いしながらベッドにダイブした。