「あー、笑い過ぎて涙が出ちゃうぜ。笑うと涙って出るもんな!なっ、なっ?」

(その戦法か!よしきた!今日は乗ってやる!)

良子は目を細めて首を縦に振った。

「うッ!うん、うん。笑い過ぎて涙でるよね。うん」

「ズビビ…ヒッ。よ…ヨッぴゃん……。でも……ごれば……ズビビ──」

「……う?うん?」

「お、俺はッ、ぶびぼほ──」

「玉置君……」

もう日本語さえ喋れてない玉置。

(もう……。まったくもう。仕方ないんだから)

頭にポンポンと浮かぶ悪態とは裏腹に優しい気持ちがホンワリと良子の中に生まれて、それが胸を埋めていく。

ジンジンはホンワリに。

「玉置君。泣いてもいいんじゃない……?泣いていいよぉ」

玉置は良子が差し出した左手を握り……

そして小さく肩を震わせた。