カラン……。

心地いい音と共に良子はガガンのドアをくぐった。

弱い夕日が射し込む店内には間接照明がひっそりとついていて。

午前中に通っていた時には居なかった多国籍なお客さんが店内を彩っている。

まるで違う雰囲気。

素敵という言葉がぴったりで

多国籍バーの様にも見える店内。

「イラッシャーイ、ヨッチャン。ドシタ？スワレ、スワレヨ～」

テレさんのハスキーボイスと笑顔に気分が癒されていく。

そんなセピア色の店内で、良子は『おう！悪ィな』と偉そうに座る玉置を見つけ、

（相変わらずジャイアンだなぁ）

急に現実に戻された。

そして良子が席に着いたと同時に、玉置の携帯が鳴った。

「よ、よよよ、よよよにょ……」

（……何だ、何なんだ？）

良子は斜め前で携帯を見ながら意味不明な声を上げる玉置をじぃーと見つめた。