そして明美の両手に大きなビニール袋が2つぶら下がっている事に気づく。

きっと、その中身はファーストフード店からの『お持ち帰り』の食べ物たちという事で。

一人じゃ到底食べきれない量なのは明らかで。

咄嗟に葉月とその取り巻き達の顔を思い浮かべて

「……五人分か」

良子は呟いた。

(でも……私には……関係ない)

良子は少し強めに首を振ってから

「さ、ガガン、ガガン」

と強い西日に手をかざしながらまた歩き出した。

(あ……、リエちゃんの事言わなきゃなぁ)

夕方の混雑している交差点を抜ける頃には良子は先刻の事などすっかり忘れてしまっていて、リエちゃんの『渋木君』事件をどう処理するべきかを考え始めていた。