(ヤバイ)

イライラが顔に出てしまいそうで良子は顔を道路の方向に向ける。

その時、待ちに待った信号が青になった。

(た、助かったよ。信号バンザイ!)

「あ、じゃ、またね」

適当な笑顔で挨拶をして、そそくさと歩き出す良子。

そんな良子にまた明美の声がふりかかる。

「……あ、あのッ!!」

(今度はなんだよぅ?)

「な……に?」

恐る恐る振り返ると

「……うんん。何でもない。ごめん。じゃ、またね」

明美は申し訳なさそうに目を伏せてから、クルリと背を向けた。

(変なの。ってか横田さん信号待ちじゃなかったんじゃん)

とジーンズ姿で颯爽と歩く明美を見つめた。