(玉置君は、もう何年真っ赤な頭なんだろう……)

少なくともビーちゃんの生まれた頃からだとすると、三年以上だ。

(玉置君……いや、玉置キュン)

ある意味『玉置キュン』だ。

あの後、茂みから立ち上がると『けど、結構気に入ってんだよ、この頭。イカすべ?』と玉置は照れくさそうに真っ赤な髪をかきあげた。



良子がずっと嫌だと思っていた真っ赤な頭。

ヤンキーだからだと思って決め付けていたあの頭。

けれど……

『炎の玉置』は、実はこんな優しい温かな炎だった。

『玉置君 ああ玉置君 玉置君』

玉置と別れた帰り道、良子は胸からこみ上げる熱いジンワリとした想いを一生懸命抑えて、茜色の空を何度も見上げた。