良子はこれから一週間も学校外なのにこのアホの顔を見て過ごさなきゃいけない自分に軽く同情した。

そして案の定、授業が始まってもたまに視界に入るナルセのボーダーのシャツが目障りで集中出来ない。

(チッ!夏風邪ひけッ!この邪(ヨコシマ)野郎!)

と授業そっちのけでボーダーのシャツに怨念を送っていると、後ろの席の女の子二人の声が耳に届いた。

「あ……メールだ」

「なになに?あ、渋木君から?」

「えへへへ」

聞こえるのは普通の女子高生の恋バナ。

憧れの恋バナ。

(いいなぁ……。青春って感じ)

そして良子は邪野郎にかなり必死で怨念送っていた自分をちょこっと恥ずかしく感じた。

(はぁぁ……)

良子は、後ろの女の子と自分のあまりの違いに大きなため息をついた。