「あ、いや。あれは私が勝手に殴っただけで……。どっちかって言うと玉置君は、巻き込まれたって感じで。だから謝んなきゃなんないのは私の方で、ごめ──」

『ごめんなさい』と言う言葉は途中でテレさんの声にかき消されてしまった。

「NO!NO!No.アヤマルナ。ジツハ、テッペーハ、コンド、モンダイオコシタラ……」

「問題起こしたら?」

「オオキナモンダイ。シタラ、タブン、タイガクヨ。ダカラ、ヨッチャンガ、テッペーヲ、カバッテクレタノ、トッテモ、タスカッタヨ」

(……よ、良かった。玉置君の学校名とか言わなくて良かったよぅ)

もしあんな事で玉置を退学にしてしまっていたら?

(命の危機だ!)

さっき見た玉置の『あ゛?』の顔が脳裏に浮かんで、良子はブルッと震えた。

「リューネンノ、リユウ。キイタカ?」

(え!?もちろん、学力の問題じゃないの?え?……まさ……か)

テレさんはフッと笑うと良子にとってはとんでもない事実を話し出す。

「センセナグッテ、ムキテー。……デ、リューネンヨ」

「……え?」

(が、学力が問題じゃ……ない?バカだからじゃないのかぁぁぁ!?)

こん棒で後頭部を殴られたような衝撃が走った瞬間だった。