(チッ……)

こんな見たこともないバリバリヤンキー仕様のスウェットを着たヤツに騙されるなんて心外だ。

「今朝、ヒゲ剃ってたらビーが飛び付いて来ただけ。服に血が付くから。あ、もう止まったか」

ピッと剥がしたガーゼの下から覗いたのは二本の痛々しい赤い線。

(……痛そう。ってか──)

意外なのは玉置がその服、というかスウェットに血が付くの嫌がっている、という事だ。

(へぇぇ)

良子は素直に感心していた。

そして──

どうやらこれが玉置なりのファッションらしい、という事に驚く。

ダランと腰で履くズボン。

見れば見るほどしっかりと上にあげたくなるが。

おヘソの下ぐらいまでグイグイッとあげたくなるのが良子の本音だが。

これが玉置なりのファッションだとすると──