「玉置……君?」

(何、そのパンツ云々──)

言わなくて良くないか?

スルーで良くないか?

良子は顔が徐々に赤くなっていくのを止められない。

目の前で『ブンッ!』と音がして玉置のパンチが空を切った。

「鉄のパンツなんて履いたらなぁぁぁ──」

(玉置ィィ!!いい加減、私のパンツ事情から離れろぃ!)

「しゃがめないだろうがぁぁぁ!」

(そういう意味じゃないよぅ!!)

真っ赤を通り越し、浅黒くなった良子の前で、『ブンッ!』と玉置の大振りのパンチがまた空を切った。

そして勢い余った玉置がよろける。

片膝を着く玉置の後ろで、なぜか丁度良く置いてあるパイプ椅子を掴むシンネ。

「……え?あ、危ない!」

「あ?呼んだか?」

玉置が良子の小さな叫び声に律儀に振り向いた。

(呼んでないよぅ!)

良子は思わず両目をギュッと閉じてしまう。

その瞬間、シンネが振り上げたパイプ椅子が玉置の頭にヒットした。