そんな事をわざわざ言う明美を、良子はさっきとはまるで違うイライラしたどす黒いモノを胸に抱えて眺めた。

黒は漆黒に近くなり、それは止めどもなく良子の胸の中に広がっていく。

その時、明美の肩越しに葉月と取り巻き達が見え、そのさらに後ろにはニヤニヤした男達が下品な笑い声をたててやって来た。

(……げッ。受験勉強は?バカなんだからさ──)

『今頑張んなきゃ!人生で必死に勉強する時期があるって素晴らしい事なんだぞ!!』

と、良子は自分の事は棚にあげまくって、夏休み前の担任の言葉を思い出していた。