バタンッとトイレのドアが壁にぶつかる大きな音がして良子は我に返った。

「あのさ……言いづらいんだけど──」

明美はビーチサンダルを履いた足で床をゴシゴシと擦りながら続ける。

「相澤さん、あの……N大の推薦は出さないほうがいいよ。だって、葉月ちゃんが出すんだから……さ。相澤さん頭いいんだから、他の大学普通に受験したって受かるんだから止めたほうがいいよ。N大の推薦だけは──」

「横田さんには関係ない事だと思うけど」

冷たく明美の言葉を遮った。