重い身体を嫌々ながら動かして階段を下りてリビングに顔を出すと

『あ、ユズ、おはよう』

気分のよさ気なママの声が聞こえた。

「………おはよ」

『どーした、元気ないな?』

新聞を読みながらコーヒーを飲んでいたパパが、チラッとアタシに視線を寄越して、そう言った。


「…うん、ちょっと頭痛くて…」

『あら大変、じゃ、寝てなさい。
学校には休みの連絡入れとくから』

対面式のキッチンからママが顔を覗かせて言う。




アタシは滅多に体調を崩したりしないから

朝から“頭が痛い”なんてここ数年で初めて口にした。




ずる休みしたくてつい吐いてしまった嘘なのに

こんな風に優しくされると罪悪感でいっぱいになる。