『じゃあ、惚れろよ』

「はっ?」

『俺に惚れろよ?』


そう言った米倉陽斗に
ふわっと包み込まれた


−−−−−抱きしめられたのに気が付いたのは
アタシとは違うシトラスの匂いが近かったから。


ギューッっと力強く抱き寄せらたアタシの肩に回された手は
とっても熱くて、
アタシの耳に聞こえるアタシのじゃない心音は
バクバクと大きな音を奏でていた。






人にはパーソナルスペースがある。
心を許せていない人間がそのスペースに侵入すれば、不快感を持つ。

−−−−−はず。


なのに、アタシはコイツ…米倉陽斗にそれを感じなかった。

ここにコイツが現れたときもアタシの隣にあっさり座ってきたのに、アタシ、嫌じゃなかった。

今も………


こんな理不尽で訳わかんない展開で、
いきなり抱きしめられてるけど

アタシの心音も、コイツと変わんないくらい大きくてバクバクしてる。