ずっと、キライだった。
自分の容姿も、他人とは異なる奇妙な力も、情けない自分の性格も。
ぜんぶ、キライだった。
──だけど。
「────っ、」
襲いくるその感覚に、うららは思わず目を押えた。
「なにかあったのか?」
「……ずっと…奥に…他とは、違うものが…」
ヘレンにメガネをもらって以来、外ではほとんど外したことはない。
だからこの感覚はひどく久しぶりで、じわりと汗が滲むほど気持ちが悪かった。
神経が研ぎ澄まされて、そしてそこに無理やり介入してくる不可思議な感覚。
気持ちがひっぱられるのを必死に抑える。
振り切るように、歩調をはやめる。
繋いだ手が汗ばんで気持ち悪い思いをさせているのに、アオは決して離さないでいてくれた。
うららはそれに安堵した。
ずっとずっとこの力が疎ましかった。
だけど今なら受け容れられる。
受け容れてみせる。
――こんなわたしに、できること。大事なひとを守る為に。
霞む視界の中、揺れる光と暗闇の狭間に――淡い光が見えた。
それは他のものとは違い、まるで存在を主張するかのように光を放っている。
アオに支えられながら、うららは蝋燭の明かりの波間を泳ぐ。
古い木棚の一角に置かれた、小瓶。
青みのかかった半透明の液体が入った、綺麗なガラスの小瓶だった。