──なるほどこれは確かに。


「…迷路、みたいですね…」


意外と的を得たうららのその言葉に、アオが同意するようにメガネのフレームをカチリと押し上げて、階段の下、果てが見えないくらいに広がる巨大な地下室を眼下に見下ろす。

無数の棚が等間隔で並び、壁と等間隔に置かれたランプすら果てなく続いていた。
さっきまで居た小屋とは全く異なる次元の広さ。

気圧される気持ちを押し込めるように、アオが口を開いた。


「時間はあまり無い。不本意だが君に従おう。ここは君の、世界なのだから」


アオのその言葉にうららは今までとは違い、強く頷いた。
そして決意したようにゆっくりと、メガネを外す。

初めて直に見るその瞳は澄んだ空の色を思い起こさせる。

──強い光の宿る色。


それからどちらからともなく手を取り、階段を駆け下りた。