小屋から出たあと躊躇なく進むアオを疑問に思い、うららが後ろから戸惑いがちに声をかけた。


「アオ先輩、地下室の入口がどこにあるのか知ってるんですか?」

「中にはそれらしき入り口が無かったからな。小屋の周りを確認していたら、それらしいのを見つけた」


小屋に着いた段階で室内や小屋の周辺の確認はしていたが、室内にある扉はひとつ。出入り口であるひとつだけだった。

しかし小屋から出てぐるりと裏側にまわると、反対側の壁にもうひとつの扉が現れる。
室内ではなく、おそらく別の場所へと繋がっている扉だろうと予測はついていた。


「こんなところに、扉…」

「おそらくこれが地下室への入口だろう」


出入口の扉と同じ造りの木でできた扉をゆっくりひくと、まるでタイミングを計ったかのように、壁際のランプの明かりが次々と灯る気配を感じた。

揺れる明かりに促されるように一歩足を踏み入れると、目の前には階段が下っている。

ランプの明かりがやけに多いなと、そんな思考は次の瞬間に一瞬で吹き飛んだ。


「──っ、」

「……なに、ここ…」


目の前に広がる現実離れした光景に、ブリキのきこりの言っていた言葉を思い出す。


『迷わないように、手を繋いでいくといい』