幼いうららのその視線の先。
絶対的な信頼の視線を向けられた、その存在こそ。


──ソラ。きっとそう。


それなら納得できる。
姿かたちはなくてもそこにソラは、居たんだから。


──あれ、でも…なんだろう…なにか違和感が、残ってる。胸に、つっかえている。


ボタンを掛け違えているような正体不明の違和感。
ずきりと痛みが一瞬こめかみに走り、うららは思わず歩みを止めた。
まるで考えることを拒んでいるかのようなその痛みに視界が霞む。


「──おい、入んねーのかよ」


その声にひかれるように顔を上げると、小屋の扉を開け室内の明かりを背負いながら、こちらを怪訝そうに見ているレオと目が合った。


「…あ、ごめんなさい…っ、いま行きます」


駆け出した次の瞬間にはその違和感も痛みも、うららの中から消えていた。