「これはあくまで、僕の憶測なんだけど…」
困ったような苦笑いを浮かべ、どこか言いにくそうにソラが視線をぐるりと見渡す。
つられるようにうららもそれに倣った。
緑溢れる小高い丘。
視線の向こうには森も見える。
柔らかい空気と雰囲気は、うららにとってやっぱりどこか懐かしく感じた。
「ここは、絵本の中なんじゃないかと、思う」
ソラの口から出てきた言葉に、うららは思わずきょとんと目の前のソラを見つめる。
――…絵本の…なか?
なんだか現実味のないその言葉に思わず呆けるうららに、ソラがやはり苦笑いを深くする。
きっとそれは、口にしたソラ自身もわかっていたのだろう。
その時だった。
「──冗談じゃねぇ」
突然ふってきた声は、うららのものでもソラのものでもなく。
反射的に視線を向けたその先に、3つの人影がゆらりと動いた。