最後の言葉は小さくて、だけどしっかりとうららへと届いたようだった。
掴まれたリオの手に震えが伝わる。
かかしの姿がゆっくりとリオの目の前から消えていく。
だけどその声が今度は、自分の中から声が聞こえた。
『──リオ。君がボクの願いを叶えてくれた。だから今度はボクが、君の願いの助けになる。君と一緒に、行こうオズのもとへ。うららをかならず、オズのもとへ──エメラルドの都で、うららを待ってる人がいる──』
かかしが居たその場所から、淡い光が空へと舞い上がる。
ともろこしの甘い香り。
広大な畑に闇に揺れるさざなみ。
もうここに見守る存在はいない。
ふと見上げた視線の先、一筋の星が流れた。
胸がじわりと熱を帯び、なにかが変わった。
そんな気がした。