色の無い記憶を口にしながらも手は自然と動いた。
まるで条件反射みたいだ。
頭に思い浮かんだものをカタチにしていく。

集めてきた布の切れ端を繋ぎ、中に散らばっていたコットンやガーゼや毛糸を詰め込む。
表面には色とりどりのビーズやボタンを、1本の糸で繋いで。

即席なのでクオリティは低めだけれど、初めて気持ちを込めてものを作った。

きみの願いが、叶いますようにって。

リオが手芸部で作っていたのは、いつもはぬいぐるみや簡単な編み物、布で作れる小物系ばかりだった。
たぶん何でもよかったんだ。

それは何かを吐き出すように手を動かしていただけで、執着も愛着も持てなくて。
出来上がったものは、名前も知らない誰かにあげていた。
時分の手元に物を残すという行為は好きじゃなかったから。


だけど今回は、違う。