その3日間が
おれの世界のすべてだった。


 ◆ ◇ ◆


見上げる夜空の星が綺麗だった。

作り物か、本物か。
この世界の造りがどうなっているのか未だ分からないけれど、綺麗だということに変わりは無かった。

広がるとうもろこし畑と満点の星空が、視界をいっぱいに埋める。
リオはその視線をゆっくり彷徨わせ、目当ての人物を見つけた。

家から少し離れた畑の柵に腰掛けながら、首が痛くならないのかなってくらいまっすぐに、その視線は夜空へと注がれている。
明かりの無い薄い暗闇に、その姿はひどく儚げに見えた。


「──うーちゃん」


ゆっくりと歩み寄りながら声をかけると、驚いたように体を揺らしたうららが、勢いよく視線をリオに向ける。
それからどこか気まずそうに、うららは俯いた。


「…すいません、こんな時間に」

「いいよ。ソラくんから聞いただろうけど、何があるか分からないし男共で見張りすることにしたんだ。今はおれの番。うーちゃんこそ、寝ないでだいじょぶなの?」


「はい、眠くないし…落ち着かなくて…」

「…そう。そうだね。俺も夜は寝ないから、平気だよ。良い暇つぶしになるし」


「…寝ない、んですか?」

「うん。夜に眠るの、キライなんだ」


なんでもないことのように言ったリオにうららは口を開きかけ、だけどすぐに噤んだ。

リオにとってその理由を、隠してるわけでもないから聞かれたら別に答えるけれど、うららはそれをしなかった。