うららの不安を少しでも取り除こうと、ソラがやさしく諭すように口にする。
その優しさに身を預けながら、うららはそっと目を閉じた。
――確かに〝分からない〟って、こわい。
〝知らない〟、〝覚えてない〟って、真っ暗闇みたいに足元が見えなくて、心許なくて。
自分の存在がひどく頼りなくて不安で、心まで弱くなる。
ふと、リオの顔が頭に浮かんだ。
リオはこんな暗闇を、ずっと歩いてきたのだろうか。
リオとうららにしか、見えない姿、聞こえない声。
だけどかかしは、この絵本の世界の住人なんだ。
うららだけじゃなくて、リオの願いのことも…何か知っているのかもしれない。
意味が、あるのかもしれない。
今ここに居ることに。
うららはそう自分に言い聞かせた。
――ひとりではとても無理だから、リオ先輩が嫌じゃなかったら…お願いしてみよう、付いてきてもらえないか。
かかしの話を、聞いてみようと思った。
この世界と、そしてうららの話を。