偉大なる魔法使い・オズへと続く黄色の道を歩き始めはや数時間。
うらら達は〝絵本の世界〟を甘くみていたことを、思い知らされていた。

「オズの魔法使い」は童話だ。
子供向けにつくられた〝絵本の世界〟は漠然とだけれど、危機感に欠けたイメージだった。

だけどここにはしっかりと時間が流れている。
この世界にも、うらら達自身の体にも。

空の色は確実に変化し日は暮れていく。
気温も少しずつ下がっていく。
あんなに明るかった空が次第に暗くなっていくのは、予想以上にうらら達の不安を掻き立てた。

体が空腹と疲労を徐々に訴え始める。
だけど見渡す限り草原が広がるばかりで、体を休める場所もお腹を満たす食べ物も見当たらなかった。


〝はじまりの場所マンチキン〟を出発し、歩き始めて数時間。
体力的にも気持ち的にも、限界が近付いていた。