――だれかに呼ばれる声がする。 うららの名前を、呼ぶ声が。 それはひどく懐かしいような、 だけど生まれて初めて聞くような、 なのに泣きたくなるような。 直接頭に、鼓膜に、心臓に。 ふかく響く、不思議な声だった。 だからうららは目を覚まさなければと思った。