「…え、あの…拒否権は…」

「いいじゃない、うらら。これから一緒に行動するワケだし、僕らはうららに従うしかないんだもん。うららがリーダーみたいなもんでしょ?」


「だれがお前の下っ端だ!」


言葉の端に噛みつく金髪の少年に、うんざりしたようにメガネの少年が呟く。


「もうお前は黙ってろ」

「んだとこのメガネ…!」


「ちょっとやめて下さいよもー」


話が進まないので、とにかくうららは3人に名前をつけることになってしまった。
うららに拒否権はなく、もはや強制に近かった。


「……文句は、言わないでくださいね…!」


得にめちゃくちゃ不本意そうな金髪の少年とメガネの少年を見据えて前置きする。


――もう、いいや。どうせ現実に帰れればこの妙な関係も全部無かったことになるんだ。


そう思えばヤケクソで、そして気楽な旅だ。うららはそう思うことにした。


「じゃあ──」


3人からたっぷり距離を取り、隣りで苦笑いを浮かべるのソラの影に隠れながら。

失礼を承知で指差しで、うららはそれぞれの名前を口にした。