「そうだ、うーちゃん。おれ達に名前つけてよ」

「へ……?」


いきなりの発言に思わず間抜けな声を上げたうららに、その栗色の髪の少年は続ける。


「おれ達はうーちゃんの後をついてくしかないんだし、どうせ戻ったときに忘れちゃうなら、見知ったおれ達よりうーちゃんにつけてもらった方が気楽だし」


――確かに嫌でもこれから一緒に行動するなら、呼び名はあった方がいいけれど…だけどどうして、わたしが。


「ちょっと待て勝手なこと言ってんじゃねぇ!」


話を聞きつけたらしい向こうでケンカしていたはずの金髪の少年が、不服とばかりにこちらへと割り込んできた。
そんな金髪の少年を物怖じともせず、栗色の髪の少年は表情を変えずに言い放つ。


「じゃあ、自分でつける?」

「は…」


「自分で自分の呼び名つけるのって、ハズカしくない? 抵抗なければ構わないよ。どんなステキな名前で呼ばれたいのか、まぁ楽しみだけどねぇ」

「………ぐ、」


抵抗あるらしい。
わずかに顔を赤くしながら(たぶん怒りもあるのだろけど)栗色の髪の少年を睨んでいる。


「まぁ、妥当だな」


メガネの少年も心底不服そうながらも、ため息交じりにその提案に賛同した。

うららはまたもや、視線の的となった。