「うーちゃん…! ソラくんも…っ」


リオが慌てて駆け寄りうららの身体を抱き起こす。
小さな呻き声が漏れ、意識を失っているだけなのだとほっと胸を撫で下ろした。

見たところ外傷も無い。
ただその頬は涙に濡れていた。


「一体なにがあったんだ…?」


アオがうららの顔を覗き込みながら、その視線をソラに向ける。
倒れたうららから少し距離をとった場所に居るソラは、僅かに俯いたまま動こうとしない。

そしてその遥か後ろには北の魔女とオズ、そして敵だった西の魔女までもが並んでこちらを見つめていた。

だいぶ距離を取っているせいで表情までもは見えないけれど…一体どうなったというのだろう。
事態が全く呑み込めない。


「…先輩方、後ろを」


ようやく口を開いたソラに言われるがままに、わけがわからないながらも3人は振り返る。

そこには、ぽっかりと空間に穴が空いたような楕円形の光があった。

覗きこんだレオが「鏡か…?」と漏らした言葉に「そうです」とソラが返す。


「それは、真実の鏡。そして現実へと繋がる扉でもあります」

「…ここから現実へ、帰れるってこと?」


ぽつりと零したリオの言葉に、ソラは僅かに微笑んでそれからゆっくりと頷いた。