◇ ◆ ◇


―─寒い…


体に触れる何もかもが、氷のように冷たかった。
その感触に心まで凍えてしまいそう。


――ここは、どこ…? わたしは、どうして──


『──泣かないで、うらら』


――だれのこえ? だれのことば? なんてやさしくて、懐かしい響き


『僕がいるよ…ずっと…ずぅっと、そばにいる。約束だよ、ずっと君を──』


――だれとの約束? 記憶にない…だけどわたしが、思い出せないのは──



「──さぁ、起きてうらら。本当のこと、教えてあげる。知りたいんでしょう? かえりたいんでしょう…?」


ひどく冷たい呼び声に、泣きたい気持ちでうららは瞼を開いた。

視界に一番に映った空は、吸い込まれてしまいそうなほど、青く。
胸を突く懐かしさが込み上げる。


――そうだ、わたし…あそこに、行きたかったんだ。