「あんた達は、いったい…」


明らかに、ただのこの世界の住人じゃないと思った。
今まで会った住人達とは、明らかに違う。
それだけはわかった。


「…我々は〝見届ける者〟。逆に言えば見届けることしか、できない者。あなた達と同じように、願いを、想いを糧に、ここに居る時間を許された存在…。あなた達の中に物語の住人がいるように、私たちはこの姿を一時だけ借りて、ここにいます」


パリン!と鋭い音を立てて、レオ達の目には映っていなかった結界というものが壊れたのが分かった。

それは日の光を反射しながら頭上から降り注ぎ、思わず目を奪われる。


「──さぁ、あなた達は行かなくては」


オズと北の魔女が示した先には、塔のてっぺんへと続く長い金色の階段があった。
塔の屋上へと沿うように、ぐるりと伸びた螺旋階段。

いろんな感情も、疑問もわだかまりも。
すべて押し込めて頷き合う。
レオ達は一礼だけ残し、階段へと向かった。

その一番後ろで、オズと北の魔女がソラに言葉をかけた。


「──ソラ。大丈夫だよ、きっと」

「もう一度だけうららを、信じてあげてね」


その言葉の真意をレオたちは誰一人理解できず、だけど深く追求することもできす。

小さくソラが返事を返し、北の魔女と偉大な魔法使い・オズは姿を消した。