うららの記憶の中。
ヘレンに手をひかれて歩いた帰り道。

一度は途方に暮れたその道が、なによりも安心できる帰り道になった時。
道は、光り輝いていた。


「この道は、決して振り返ってはいけない道。振り返ると、道は進路を見失ってしまいます。ただ、前だけを見て…あなたはあなたの、道を―─」


北の魔女はどこまでもやさしくそう囁き、そしてうららの額にそっとキスを落とした。


「旅人たちに、祝福を」


その言葉と共に光の粒が降り注ぎ目を奪われた次の瞬間、北の魔女も淡いピンク色の空も、みんな光に溶けて消えていた。

うららは涙に濡れた瞳で、それを見送っていた。