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「あああもう疲れたしじれったいし砂ばっかだし…! イライラする! おれイライラする!!」
「うっせぇなお前だけじゃねぇよさっさと歩け!!」
「もーレオの怒鳴り声すら暑苦しい…!」
「…っ、ダレが怒鳴らせてんだよダレが!」
叫んだレオ自身直後にどっと疲労感に襲われる。
灼熱の太陽の下、砂と土煙の中をひたすら歩き続けたせいで、全員既に体力は限界に近かった。
案の定一番にゴネだしたのはリオで、不機嫌さを全開に喚き散らす。
だけど決して足を止めることなく。
アオもソラもレオも、無言でひたすら歩き続けた。
暑さと疲労で汗が止め処なく噴き出し、レオの後ろで結んだ半分の髪の先からも滴るほど。
逸る気持ちとは裏腹に、砂漠の道は過酷だった。
金色の道は絶えず淡い光を発し続け、行く先を照らしている。
こんな時に魔法とやらで一瞬で行けたらいいのにと、柄でもないことを本気で思った。
そんな自分にも余計にイラついた。
そうして休む間もなく足早に道を辿ってどれくらいか…少なくとも数時間は歩いただろう。
漸く目当てのものが視界に映った。
遠目には見えていたその全貌が、徐々に明らかになる。
「あれか…」
地平線上に悠然と構えるその建物は、近づくほどに全貌が明らかになりその迫力を増す。
広い砂漠の真ん中に忽然と湖があり、その更に真ん中に巨大な灰色の塔があった。
塔までの道や橋は一切ない。
ただ湖の真ん中に塔が聳えているだけ。
ここに、西の魔女とそしてうららが居る。