その道を見つめながらソラが口を開く。
先ほどとは打って変わって切なそうそうに顔を歪めて。
「…ムリヤリ記憶を呼び覚ますのだけは、どうしても避けたかった。だから僕は…うららをずっと、見守ってきました」
記憶を…願いを失くした彼女。
この世界にきてから物語の住人たちに触れ、少しずつうららは記憶を、そして自分を取り戻している。
──だけど。今まで気にかかっていて、だけど口にはできなかったこと。
彼の…ソラの記憶をなぜ思い出さないのか。
取り戻さないのか。
あんなに大切そうに思っているからこそ尚。
それがここにきて確信めいたものへと替わった。
きっとうららの願いと最後の記憶は、ソラと深く関わっている。
…繋がっている。
この道の先に、ソラの視線の先に…うららはいる。
そして彼女の本当の願いも、そこにある気がした。