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アオは表現に詰まるほどの、よくわからない恐ろしげな獣。
レオは巨大な緑の火の玉。
それぞれに自らをオズと名乗り、そして願いを差し出す毎に返ってくる言葉は同じ。
『西の邪悪な魔女を倒しなさい。そしてのその証拠を我の前に』
4日を費やし分かったことは、願いを叶えてもらう為にはオズの要望をきかなければいけないということ。
───それが、結論だった。
―――――――…
レオの面会から数時間後。
エメラルドの都の門を背に、うらら達は並んで目の前の草原を見つめた。
それから皆がため息交じりに言葉を零す。
「また出発かー」
「つーか魔女ってあの魔女だろ? どうやって倒すんだよ」
「知るか。俺に訊くな」
「きっとまた、住人たちが助けてくれますよ。それにうららがいるし」
ソラの何気なく言った言葉に、視線がうららに一集する。
それにうららは居心地わるげに曖昧な笑みを浮かべるしかできなかった。
エメラルドの都を出る際に、門番にあることを教えてもらったのだ。
『あなたの額の祝福には、強い力が込められている。そして銀の靴にも。それがある限り、そうカンタンにはあなたに手出しできませんよ』
にこにこと門番は言い、わたし達を送り出してくれた。
『西の魔女は大変凶悪で、自分の国に足を踏み入れた者は皆奴隷にしてしまうといいます。草原を越えた先の砂漠が、西の魔女の国。もう会えないかもしれませんが、お気をつけて』
かわいい顔して意外と容赦なかった。
「わたしだけが無事でも仕方ないよ…みんなで絶対に、帰るんだから」
その為に自分にできることがあるなら、やらなければいけない。
足元にはもう黄色い道はない。
ここが旅の終着点のはずだった。
ちゃんとここで、願いを叶えてもらえてれば――…
「…別にお前のせいじゃないだろ」
すっかり気落ちしてしまったうららの頭を、レオが仕方なさそうに撫でた。
うららもいい加減気持ちを切り替えなければと前を向く。
──目指すは西へ。