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「えーーおれうーちゃんの隣りじゃないと寝れないし、同じ部屋がいいんだけど」


今晩滞在することになった魔法使いオズの宮殿にて、それぞれ部屋に案内された後。

夕食の時間にまた呼びにきてくれるということなので、とりあえず久々にベッドもあるし落ち着ける場所で各自休もうという流れになったところ、リオの口から飛び出した第一声が、ソレだった。


「……っ、…リオ、お前な…っ ここは外とはちげぇんだぞ、男女を一緒の部屋で寝かせられるか!」

「なんでレオにそんなこと言われなきゃいけないわけ、うーちゃんとおれのモンダイじゃん」


「や、リオ先輩…気持ちは分かりますが、それはちょっと僕もゆるすわけには…流石に僕も違う部屋ですし」

「いつから君は彼女の保護者になったんだ」


「アオの言う通りだよソラくんはただの幼馴染みでしょー? おれはセツジツな事情があっての申し入れだし」

「だからと言ってリオ、常識が無さ過ぎだ。どうせ待つしかないんだ、昼間寝ればいいだろう」


「アオみたいな冷徹仮面にセンサイなおれの気持ちはわかんないよ」

「……」


当事者のはずのうららを置いて(勿論承諾できるはずもないのだけれど)、議論が繰り広げられた結果。


「では大広間をひとつお貸し致しましょう。すぐに寝具を整えますので」


なぜか全員、同じ部屋になった。


「なんか結局、いつもと同じカンジだね」


緑を纏ったメイド達がテキパキとベッドメイクをする様子を壁際で眺めながら、隣りにいたソラにこそりと呟く。

言葉にはせず苦笑いと共に同意の笑みが降ってきて、部屋の中央の大きなソファーで何やら話す3人の先輩たちに視線を向けた。


「もしかしたら今日でお別れかもしれないもんね。先輩たちも、寂しがってくれてるんだよ」


冗談混じりのように言って、ソラがわらう。

オズとの面会を明日に控え、皆どこか落ち着きがないように思えた。