大きな緑色の門は近づくほどに光を増し不快感を煽ったけれど、さほど長くはない距離だったので数十分ほどで門の前まで辿り着くことができた。
門や壁はただの緑色だったけれど、一面にエメラルドの宝石が散りばめられている。
それが太陽の光も手伝って、頭が痛くなるほど輝いていたのだ。
「…偉大な魔法使いってのは、アホなのか…?」
レオが眉間に皺を深く刻みながら零し、隣りのリオが無邪気に笑う。
「口には気をつけないと、どこで聞かれてるかわかんないよー? ここはオズの国なんだから」
――…そうだ。
魔法使い、オズ。この国で、この世界で一番偉大な魔法使い。
願いを、叶えてもらうんだ。やっとここまで来た。
うららの記憶は未だすべて揃わないけれど、今のうららにとってはみんなで無事に帰ることが、一番大事なことだった。
ふとソラが門の横にあった呼び鈴に気付き「鳴らしてみようか」と同意を得る間もなくボタンを押す。
すると門の中――扉の奥でカランカランと金属音が鳴り響き、間もなく重たい音を響かせながら、ゆっくりと扉が左右に開いた。
全員の視線が注がれるその奥で、迎える声。
「───ようこそお客人。エメラルドの都へ何かご用かな?」
その声はドアの向こうから、凛と響いた。