再びうららの足元に現れた金色の道を一歩踏みしめたのと同時に、銀の靴が溶けるようにその姿を変え、以前と同じ学校指定の茶色いブーツになっていた。
だけどなくなったわけではないことを知っていた。
わかっていた。
ずっとここに、あったことを。
黄色い道を進み丘を越え、眼下に広がるその光景に思わず目を細める。
その先には地平線を覆い尽くすほどのエメラルド色の壁が連なっていた。
わずかに光を放つその壁は、果てなく続いているようにも思える。
金色の道はまっすぐその場所まで伸び、その先には丘の上から見て取れるほどの大きな門があった。
ここまで来ればもうその道がなくとも、行き着く先はひとつだった。
「あれがエメラルドの都か?」
「すっごい光ー! 壁一面光ってんのかなあれー」
「……あんだけウザく主張されっと、イライラする」
「目にはあまり良くなさそうだね。うらら、大丈夫?」
「…だ、だいじょうぶ…まぶしいけど…」
丘の上で横一列に並び、それぞれ感想を口にしながら思わず顔を見合せる。
くすりと誰かが笑って、それを合図とするように歩き出した。
下り坂の風に背中を押されながら。
すぐそこに、偉大な魔法使いオズが居る。
――ようやくわたし達の願いが、叶えてもらえるんだ──