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『…明日が来るのが、こわいの』
そう言って、ゆいは泣いた。
その小さな手にたくさんのものはすくえなくて
希望も未来も明日さえも、ただ零れ落ちてゆくだけだった。
『だからお兄ちゃん、呼んで…ゆいの名前をたくさん呼んで、ゆいをちゃんと、起こしてね。ぜったいぜったい、約束よ。
ゆい、絶対にお兄ちゃんの声だけは、聞き間違えたり、聞き逃したりしないの
だってお兄ちゃんの声はいつもまっすぐ、ゆいの心まで届くから…起きなくちゃ、て思うから。
ゆいを絶対 起こしてね』
だけどいつからか、オレはゆいの名前を呼べなくなった。
ゆいもオレを、呼ばなくなった。
オレはゆいを置き去りにしたんだ。
あの真っ暗な夢のなかに、ひとりで。
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