「とにかく、あまり穏やかに済みそうにない。この場をどうにかする方法を考えた方が良さそうだな」
いつの間にかアオがすぐ近くで自分たちを見下ろしていた。
冷静な口調でため息を吐き出しながら。
ふとアオのその姿が、青白い光を放っているように見える。
まるでさっきのリオのように。
「あれ、アオ、あっちにいったおっかなーい獣たちは?」
「たいしたこと無かったな。獣は元来火に弱いモノだ」
「あはは、おっぱらったんだ! やるじゃん生徒かいちょー!」
「まぁ俺の力でも無いがな」
その場にそぐわない空気で話すふたりに、先ほどまでの緊迫した雰囲気はなかった。
そういえば東の魔女が従えていた2頭のカリバの姿が見当たらない。
その代わりに少し離れた場所には炎の焼け跡が残っていて、僅かに油の匂いがした。
それはたぶん、きっと。
ふたりの中に彼らがいるからなのだと、悟った。
〝ボクたちがいることを、どうか忘れないで〟
──力を貸してくれているんだ。