「…ソラ…っ リオ先輩…!!」


速度を増して近づいてくるソラの姿を目に、無意識にうららは叫んでいた。

ぶつかると思ったその瞬間。
落下するソラの体がリオに到達する本当に一瞬手前で、ピタリと止まった。
まるで時が止まったかのように一瞬、風が止む。

淡い光を撒き散らしながらソラの体は空中で静止し、余波で埃と土が舞い上がる。

リオの体の周りを、赤白く淡い光が舞っていた。
リオを、ソラを、包み込むように。

その瞬間、リオだけが笑っていた。
揺ぎ無い自信が確かにそこにはあった。

共に居るかかしの言葉を、誰よりもリオが信じているから…だからきっと、笑えるんだと思った。
うららの目からは涙が溢れていたけれど、理由はもうわからなかった。

空中からゆっくりと落ちてくるソラの体を、リオがドサリと受け止める。
衝撃も外傷もほとんど無く、ふたりとも無事だった。
そのまま地面に下ろされたソラの姿に、堪らなくなってうららは駆け寄る。


「ソラ…!」

「意識を失ってるみたい、動かなさい方がいいかも」


「……っ、」

「まったくー、ふたりともムチャするんだからー」


力なく横たわるソラの体を抱きしめて、その存在を必死に確かめる。
涙がソラの頬に落ちて、だけど目覚める様子はない。
それでも。
きちんと息をしていて、こんなにも温かい。

安堵か、恐怖か。
わからないけど全部、ぐちゃぐちゃだった。