ソラの体が地面に吸い込まれるその場所に、うららが到着するよりはやくリオの姿があった。
うららは悲鳴のような声で叫んでいた。
「リオ先輩…っ」
「うーちゃんはソコにいて、あぶないから」
「でもそしたらリオ先輩が…っ」
「だいじょうぶ」
いつもの緩やかな口調でうららを制止し、リオは笑う。
確信めいたその笑みには余裕すら浮かんでいるように見えた。
「おれの中のかかしが大丈夫だって言ってるから…大丈夫なんじゃない?」
「かかし、が…?」
リオはそれだけ言って、視線をまっすぐ空へと戻す。
うららの躊躇を置いて、ソラはまっすぐリオの待つ場所へ落ちてくる。
スピードを増しながら。
――あぶない…! このままじゃふたりとも…!
思わず背けたくなる目をなんとか抑える。
恐怖で体が震える。
だけど。
大丈夫だと。
リオが、そしてかかしが言うのなら。
今のうららには信じて見守ることしかできなかった。
今のうららにはそれしかできなかった。