「……え?」
あまりにも自然に、いつもの会話をするようにソラは続ける。
迷いなくうららを見つめたまま。
しっかりと手を繋いだまま。
「僕はうららのことが、…大好きだよ」
「…そ、ら…?」
「ずっと……言えなかった。言うことが、できなかったけど…だけど今なら言える気がしたから…伝えたかったんだ、どうしても。…ごめん、急に」
ソラは決して視線を外さない。
青い瞳は揺らがない。
揺れているのはうららだけ。
「僕はうららが小さい頃からずっと側にいた。僕はうららと出逢った時から…うららのことが、好きだった。誰よりも何よりも…大切だった」
ソラは決して嘘をつかないと、ソラの記憶を未だ思い出せなくてもうららは知っていた。
わかっていた。
だから余計に目を、逸らせなかった。
「──だけど…うららが思っている以上に、僕は────」
ソラの声が、視線が、温もりが。
まるで直接脳に、心臓に響くように熱い。
繋いだ手から流れ込んでくるように、痛いくらいに熱くて──
その時、小屋の扉が開いた音にソラの言葉は遮られる。
反射的に視線を向けるとそこに居たのはアオ先輩だった。
「……目が覚めたのか」
うらら達ふたりに交互に視線を向け、ぽつりと呟く。
アオも目を覚ましたばかりなのか、メガネを外して目頭を押さえていたけれどすぐにそれをかけ直した。
「みんな早起きだねー、ソラくん、体調はどう?」
その後ろからひょっこりとクセ毛を揺らしながら、リオが顔を覗かせた。