それから私は毎日、毎日、チョッ君を連れて電車に乗って涼也の病院へと面会に出掛けた。
そして面会の度にチョッ君は寂しい思いをさせなければならない。
小児病棟室に乳幼児は入室禁止になっていた。
感染防止の為に。
だから小児病棟のエレベーターホールでチョッ君に、
『絶対にここで待つんだよ。動いちゃダメよ』
と、念入りに約束をして私1人だけ小児病棟室に入っていく。
涼也が産まれたばかりに搬送された大学病院のNICUのようにマスクをしたり専用の服を着たりと言う事はなくて、そのままで入れる。
涼也は個室。
今日はドアを開けた時に、こっちを涼也は見てくれるかなぁ~………って思いながら私はドアを開ける。
結果は昨日と、その前と、とにかく入院してからずっと同じ。
ドアが開いたって涼也は見ない。
私を見ない。
喜ばない。
母として、こんな辛いものは無かった。
母を見ても知らん顔の涼也。
面会に来ても特にする事もない。
涼也と会話をする訳でもないし。
だから私は、面会時間は30分で毎日終了していた。
もちろん、エレベーターホールで1人寂しく待たせてるチョッ君も気掛かりだったし。
そして、私が涼也の病室を出て行く時も泣きもしない。見もしない。
よその部屋からは
『嫌だ~!!帰らないで~ママ~』
なんて声が聞こえて来る。
単純に羨ましかった。
そして……
さみしかった。