そして、会話が聞こえて来た。


隊員の人が一生懸命に涼也の為に受け入れ先病院を探してくれている。


物凄く頭を下げて。


しかも隊員の人が持って話している受話器から相手の病院の先生らしき人の声が、ハッキリと漏れて私に聞こえて来る。



やっぱり……医者……なんて…………。


聞こえて来た声は、踏ん反り返って態度のデカい声。
しかも涼也が知的障害だと知って、ますます面倒くさそうに断ってくる。


私は、聞いていてムカついてムカついて、ならなかった。


そんな先生を相手に隊員の人は、それでも一生懸命に頼んでくれている。


そして、この先生は、今日の担当病院が受け入れを拒否したら、うちに連れて来な。
あなたの頼みじゃ仕方ないわぁ~………ワッハッハッハッ。



命を救う為に医者になったんじゃないの?


救急隊員の人達の方がよっぽど素晴らしく思った。



結局、次に連絡を取った病院では恐らく涼也の知的障害が重荷だったのだろう…即答で拒否され、隊員の人はまた、さっきの病院に電話してまた頭を下げてくれて受け入れ可能となった。


あの時、初めて分かった。

たまに救急車を見るけど、患者を乗せても、なかなか出発しない救急車は実は車内で隊員の人が一生懸命に受け入れ要請をしているから、しかもおかしいけど病院が受け入れ要請を拒否するから、すぐに出発出来ない事を知った。