『いつもの涼也と一緒です。』
『そうですか。でも意識不明の時間が数分あると本部から聞いているので今は大丈夫でも数時間後や数日経って何かあったら大変なので、これから病院に行こうと思います。
取り合えず救急車内で受け入れ可能な病院を見つけるので、お母さん、戸締まり火の元を確認されたら救急車に乗って下さい』
慣れた口調で淡々と救急隊員の人は私に説明をしてくれた。
私は、どうみてもいつもの涼也にしか見えないから病院には別に良いんだけどなぁ……なんて気持ちもあったけど確かに後に何か容体が変化しても怖いし……って感じで考えていた。
そして私は、火の元を全てチェックして、えっと次に戸締まり戸締まり………と。
さっきまで興奮していて部屋がどういう状態だったのかさえ気が付かなかったけど、今、正気に戻って改めて部屋を見ると散乱してる。
涼也の口から出た食べ物。
お茶はこぼれてる。
箸やスプーンも散乱してる。
そして受話器が転げたまま。
今、落ち着いてる私はまるでさっきまでの嫌な時間が嘘みたいに思えた………。
………けど、この部屋が物語っている。
嘘でも無ければ夢でも無い。
我を忘れて必死になって涼也を救おうとした現実にあった出来事。