『ピーポーピーポー』
救急車は家の前を少し過ぎた所で停車した。
そう私が間違えて住所最後の番地を知らせてしまったから…。
とにかく私は急いで外に出た。
救急隊員はキョロキョロと我が家を探している様子。
走って救急隊員の所に行こうとした時に隣りの家の奥さんが出て来て、
『救急車はお宅?』
『そうなんです。うちです』
隣りの奥さんは大きな声で救急隊員に声を掛けてくれた。
『こっちでーす。
ここですよーっ』
救急隊員はすぐに気付いて担架と一緒に私の元へ来た。
隣りの奥さんはチョッ君では無く涼也だとすぐ察知したらしく私にチョッ君を色々と落ち着くまで預かりましょうと言ってきてくれた。
身寄りもない私は有り難く甘えさせて貰い私の携帯番号を素早くメモして、チョッ君を隣りの奥さんにお願いした。
そして救急隊員の人は念の為にと、もう元気になってる涼也の口から吸引機を使用して異物や痰を吸引してくれた。
1人の救急隊員の人が、
『僕~、大丈夫かい?』
涼也に話し掛けた。
私はすぐに
『あの、この子、知的障害で喋れないんです』
救急隊員の人は特にビックリもせずに
『そうですか。じゃあ僕達じゃ分からないないなぁ。
お母さんから見て涼也君はいつもの涼也君ですか?』