里美さんは、ポカ~ンって顔をしたまま私に
『涼ちゃんママ、凄いねぇ。ベテランって感じがするよ。
最初からそんなに強かったん?』
私は、両手を使って大きく左右に振りながら
『えっ!!そんな訳ないじゃん。
最初は良く泣きよったし、今だって泣く時は泣くし悩むしね。
でもまぁ、5年近くなるけぃね。知的障害って分かってから。
多少は強くもなれば諦めもつくねぇ。
自分も年を取るけぃさ、母心もまぁまぁになるしね。
…ところで、里美さんのお子さんは?』
この私の質問に里美さんは暗い表情を見せた。
とっさに聞いてはイケなかった…のかな?…って言う私の気持ちとでも、里美さんの話を聞いてあげたいと思って誘ったんじゃん…って言う気持ちが心の中でぶつかる。
少し沈黙の後に里美さんは、
『男の子が1人おるんよ。
今ね、3才。
この子の顔は見たくないと旦那は離婚届を置いて出て行ったんよ』
涙を、ポロポロと静かに流しながら言ってくれた。
私は、黙って聞いた。