二の君とても、このように、失態を見せてしまわれたことを、悔やまれる想いで、とりつくろいに、

「いえ、美しきものに心が惑うのは、人の常――けれども、私の心に真実お住みになるのは、月の姫をおいてほかにはいらっしゃいません」

と、このようにおっしゃるのでしたが、そうしていらっしゃいますうちに、ふと、古き記憶に残っていらっしゃいます、甘き香りの漂うのにお気づきになるのでございました。