高校生になった夏。



私は、実家の民宿じゃなくて

亮祐さんの家の、

温泉街でも一番大きな旅館で

仲居さんの見習いとして

一ヶ月ほど働いた。


両親にそう言われたのだった。



その夏休みも、

どうせ実家の手伝いをさせられる、

そう思っていた私は少し意外な気がして、


結局は旅館業の手伝いに明け暮れること
には変りなかったけど、


反発することもなく、

むしろ楽しんで亮祐さんの家の、
大きな旅館で

短期アルバイトとして働いたのだった。