既に太陽が西から昇り始めている明け方、宮殿の正門の前では執事が立っていた。

王子を帰りをずっと待っているのだ。



「遅ぇーな、王子…」


今日も快晴の空を見て、ぼんやりと呟いていると、宮殿から一人のメイドが慌ただしそうに走り寄ってきた。



「はぁ、はぁ…
あの、姐御様がお呼びですっ…!!」



「何か手掛かりが分かったのかよ?」


そろそろ何らかの手掛かりくらい掴めているだろうと軽く聞いたのだが、次のメイドの言葉を聞いて執事は驚くしかなかった。



「あの、それが…既に国王様を暗殺した
主犯の目撃情報があったと…」



「………。は!?マジかよっ」


目を見開く程声を荒げた後、執事は急いで宮殿の中へ走り去る。


……一方ラウンジでは、数十人のメイド達と兵士達の他、姐御は苛々しながら執事を待っていた。



「……何をやってんだいあの馬鹿はっ…」


例え時間がそんなに経っていなくとも、姐御はあまり気は長くはない。

そこへ漸く執事が通路側から現れると、姐御は第一声をあげる。



「遅いっ!!!!」


怒鳴られた執事は凄まじい姐御の剣幕に後退りながら謝る。